認知症の家族に昔のことを聞くとき|答えやすかった質問・答えにくかった質問

介護

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認知症の家族と話していると、
「どんなふうに聞けば答えやすいんだろう」
と迷うことがあります。

私も母との会話の中で、
質問によって話が広がるときと、
あまり広がらないときがあることに気づきました。

そこで今回は、
私が実際に母へ聞いてみて、
答えやすそうだった質問と、答えにくそうだった質問
をまとめてみます。

これはあくまで私と母の場合の体験です。
すべての方に同じように当てはまるわけではありません。

答えやすかった質問①「どんな花が好き?」

母は花を育てることが好きでした。

そこで、
「どんな花が好き?」
と聞いてみると、
少しずつ花の名前が出てきました。

チューリップ、あじさいなど、
いくつもの花の名前を思い出してくれました。

最初からたくさん答えたわけではありません。
少し考えて、また一つ。
さらに時間を置いて、また一つ。
という感じでした。

私は急かさず、
出てきた言葉をそのまま受け止めるようにしました。

「まだこんな花が好きだったんだ」
と、私自身が母のことをあらためて知る時間にもなりました。

答えやすかった質問②「どんな色が好き?」

母は昔から色へのこだわりが強い人でした。

「どんな色の服が好き?」
と聞くと、
この質問には比較的すぐ答えてくれました。

好きな色の話になると、
表情も少し明るくなったように感じました。

母が好きだと話した色は、
その後、私が作った「ふみこさん」の絵本にも取り入れました。

主人公の服やスカーフの色に使うことで、
母らしさを絵本の中に残すことができました。

答えやすかった質問③「どんな歌が好き?」

歌うことが好きな母に、
「どんな歌が好き?」
と聞いたこともあります。

母の答えは、

「楽しい歌」

でした。

その言葉を聞いて、
私は子どもの頃に母がよく童謡を歌っていたことを思い出しました。

母に質問したことで、
母自身の記憶だけではなく、
私の中にある昔の記憶もよみがえってきたのです。

今見えているものから話すと、言葉が出ることもありました

昔のことを思い出してもらう質問だけではなく、
今、目の前にあるものについて聞くこともありました。

母は外を見ることが好きで、
施設でも時間があると窓の外を眺めているそうです。

あるとき母は、
風で揺れている葉っぱを見ながら、

「葉っぱが揺れて、歌っているように見えるのよ」

と話してくれました。

無理に昔のことを思い出してもらわなくても、
今見えているものや感じていることから、
その人らしい言葉が出てくることもあるのだと感じました。

答えにくそうだった質問「どこの山が良かった?」

母は60歳を過ぎてから山登りを始め、
全国のいろいろな山へ出かけていました。

そこで私は、
「どこの山が一番良かった?」
と聞いてみました。

でも、この質問ではあまり会話が広がりませんでした。

山の名前そのものを思い出すのが難しかったのかもしれません。

好きだったことだから何でも答えやすいわけではないのだと、
このとき感じました。

質問の角度を変えると、言葉が出ることがありました

山の名前では話が広がらなかったので、
私は少し聞き方を変えてみました。

「山頂で歌ったりはしなかったの?」

すると母は、

「リーダーがそういうタイプじゃないから」

と答えました。

山の名前は出てこなくても、
山登りをしていた頃の雰囲気や出来事については、
言葉が出ることがありました。

答えが出にくそうなときは、
同じことを何度も聞くのではなく、
少し違う角度から聞いてみる方がいいのかもしれないと感じました。

私が意識するようになった聞き方

母と話す中で、
私が意識するようになったことがあります。

まず、
正しい答えを求めすぎないことです。

名前が出てこなくても、
話が途中で変わっても、
そのとき出てきた言葉を大切にするようにしています。

また、
質問を続けすぎないことも意識しています。

答えに困っているようなら、
別の話題に変えたり、
今見えているものについて話してみたりします。

そして、
答えやすそうだった話題は覚えておき、
別の日の面会でもまた聞いてみることがあります。

質問することで、私自身も母を思い出しました

母に昔のことを聞くようになって、
変わったのは母との会話だけではありませんでした。

「楽しい歌が好き」
という言葉から、
私が子どもの頃に母が童謡を歌っていたことを思い出したように、
質問する側の私自身も、
昔の母の姿を思い出すことが増えました。

認知症になった今の母だけを見ていると、
どうしても「できなくなったこと」に目が向いてしまいます。

でも、
好きだった花や色、歌について聞くことで、
その前から続いている母らしさに気づくことがありました。

答えられることを探すより、その人らしい言葉を大切にしたい

認知症の家族に昔のことを聞くとき、
「何を聞けば思い出してくれるだろう」
と考えてしまうことがあります。

私も最初はそうでした。

でも今は、
何かを正確に思い出してもらうことより、
そのとき出てきた言葉や表情を大切にしたいと思っています。

花の名前が一つ出ただけでもいい。

「楽しい歌」と短く答えただけでもいい。

窓の外の葉っぱを見て、
「歌っているみたい」と感じた言葉でもいい。

そうした小さな言葉の中に、
その人らしさが残っていることもあるのではないかと思っています。

母との会話は「思い出絵本」にもつながりました

こうして母から聞いた、
好きだった花、色、歌、山歩きの話は、
私が作っている「ふみこさん」の絵本にも取り入れています。

質問することが、
母との会話のきっかけになり、
同時に家族の思い出を残すきっかけにもなりました。

もし認知症のあるご家族との会話に迷っている方がいたら、
まずは、

「何が好きだった?」

と、一つだけ聞いてみてもいいかもしれません。

答えが出なくても大丈夫。
別の質問に変えても大丈夫。

その人らしい言葉が一つ見つかれば、
そこから新しい会話が始まることもあるのではないかと思っています。

認知症の家族との面会そのものがつらく感じている方へ、私が会話の仕方を変えるまでの体験はこちらに書いています。

認知症の母との会話で、実際にどんな質問をすると話が広がったのかは、こちらの記事にまとめています。


認知症の母との会話に困ったとき|会話が広がった5つのきっかけ


認知症の母との面会がつらい|「帰りたい」を聞き続けた私が会話を変えた理由

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